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世界の終わり
    ―――眠りにつく前に
 
 佐上 令
 
 
 みんな、衰弱している。
 ‥‥‥生きるとは、そういうものだ。
 
 
 現実の雑事にのみかまけたり、幻想や錯覚、妄想の世界に耽溺することで、自分や世界と向きあうことから逃げ続ける人が多すぎる。
 
 空虚なままでいい。
 空虚さこそを、わかちあいたい。
 空虚さをごまかすために、ふらふらしないでほしい。
 空虚さを埋めるために、くだらないまねをしないでほしい。
 
 
 ここから動かないで。
 逃げていかないで。
 ここにいて。
 
 けれど、引きとめる力も、連れ戻す力もない、無力なぼくは、ただ立ちつくすだけだ。
 
 
 ぼくはこれまで、自分の未熟さ・愚かさゆえに、多くのかけがえのないものを失ってきた。
 もう、とり戻せない。
 もう、どうにもならない。
 とり返しのつかないことだけが、増えていく。
 
 
 せつなくて、せつなくて、せつなくて。
 さみしくて、いとおしくて。
 でも、そうした想いのやり場は、もうどこにもなくて。
 
 あの頃には、もう戻れない。
 ただ、頑なだった自分を呪うのみ。
 
 
 とり戻せないことなどないことを、これからぼくは、自分自身に証明しなければならない。
 たとえ、敗北が目に見えていようと―――。
 
 
(2000.12.15.) 
 
 
 
『蒼穹』 (C) SLAN